こんにちは、突撃インタビュアー、タケです。
今回は「コミュキャラの箱」での人気キャラ『ルウルウ』のシナリオライター、綿貫ある子さんに突撃インタビューを行いました。
コミュキャラ関連に限定せずにいろいろと伺っていきたいとおもいます。
―― 綿貫さん、今日はよろしくお願いします。
綿貫 こちらこそよろしくお願いします。インタビューなんて初めてですが、なるだけ堂々と答えて行きたいと思います。
──初めて小説などのフィクションを書いたのはいつ頃ですか?
綿貫 小説で一番最初となると、妙な話ですが中学校の国語の授業ですね。一度面白い授業がありまして、太宰治の『走れメロス』ってあるじゃないですか。あれの二次創作を書けっていう課題がクラス全員に出されたんですよ。もちろん、二次創作という言葉は出なかったと思いますが。
──『走れメロス』の二次創作ですか。
綿貫 クラスメートの大半はメロスを待っていたセリヌンティウスの視点で書いたか、本編の後日談などを書いていたんです。ところが僕だけ、どういうわけか悪役である王様の視点で書いていまして。メロスが帰ってくるという一抹の希望を心に抱くきれいな王様を書いちゃってましたね。ひとつの題材を元にしながらも、書く人によってこうも変わってくるんだっていうのを面白く思った記憶があります。
――もともとある小説をふくらませて文章を書くって極めて実践的な文章トレーニングだと思います。「ひとりだけ悪役の視点」でしかも「きれいな王様」ってところが面白いですね。
綿貫 クラスメートからの受けはイマイチでしたけどね(笑)。
──小説からは少し離れますが『RPGツクール』で遊んでいたとお伺いしました。
綿貫 幼かったころから、RPGツクールではいろいろと学ばせていただきましたね。ゲームシステムを考えたり、キャラクターの多様化やバランスを考えたりとか。でも一番大きかったのは、舞台を小さくまとめることの大事さだったかと思います。RPGツクールって最初からいっぱい素材が入ってるし、使える容量も大きいですから、物語が大きくなりがちなんです。ところがそういう構想でゲームを作り始めると、どうしても途中で微妙な気がして投げ出しちゃう。僕、もともと飽きっぽい性分ですから。で、ある日、小さなRPGを作ってみようと思いたったときがありまして。主要キャラクターは2、3人くらいでいい、街も少なくていいし、ダンジョンも最低限でいい! と、そんな構想でやってみたら、スルスルっと最後まで作れたんですよ。でも、小さくなっているのは舞台だけで、キャラクターやシステム、バランスなんかはそれまで途中で投げ出してきたものよりもずっといい感じになってたんです。ああ、作りたいものを絞るのが大事なんだなぁ、と肌で実感した瞬間でしたね。もちろん、今思うと当たり前なんですけど。
──舞台を小さくまとめるというのは、ゲームシナリオでも小説でも大事なことですよね。綿貫さんの作品のわかりやすさの源泉を見た気がします。
──綿貫さんの作品といえば、わかりやすさもさることながら、キャラクターの魅力を引き出す仕草の表現や台詞、状況の作り出し方が非常にうまいなと思います。わかりやすく言うと”萌えさせ方”がうまい。これについて何か心がけてる点などはあるんでしょうか?
綿貫 『萌えさせ方がうまい』と言われたのは初めてですが(笑)。えっと、そうですね、僕は基本的に“萌え”はキャラクターの素の自分が開けっぴろげになっているときにあると思うんです。お腹を出して寝ててもいいですし、バレバレな嘘をついたり、趣味や嗜好を力説したり、逆に興味なさげにガン無視したり、そんなの瞬間に“萌え”……というか、キャラと触れ合い、キャラを理解した気持ちになる。反対に、素の自分を出さないキャラは、どうしても読者にとって“他人”になってしまうので、思い入れが起きにくいように思うんです。ですから、キャラクターの性格を分かりやすくするとか、キャラの本心が伝わるような台詞にしたりとか、あるいはキャラの素が発露できるような状況に持っていったりとか、とにかくキャラの素の自分を効果的に出せるようにと常に意識していますね。
──そうすると元のキャラ設定で萌えさせられる、られないはある程度決まってきそうですね。
綿貫 いえ、たとえば「寡黙なキャラは素が発露しにくい」というだけで。そのため「寡黙キャラだと、素が出せる“状況”にする必要がある」というふうに考えています。簡単なものだと、二人きりになるとかですね。物語では日記を覗き見るシチュエーションが多いのも、同じところを狙っていると思います。
──設定がどうであれ状況を作り出すことで萌えは作り出せるというわけですね。では綿貫さんが得意とするキャラはありますか?
綿貫 得意というかやりやすいキャラは表現媒体によって少し変わってきますね。僕自身、元気なキャラも寡黙なキャラも好きですし、いろいろなキャラを書きたいんですが……無口系はグラフィカルな要素と二人三脚じゃないとキツいかなぁとは思います。文章だけだと、無口系にはセリフが少ないので、魅力を出しづらい気はします。不可能ではないんですが、普通に口数が多いキャラに食われちゃいそうで。たとえば、かの『涼宮ハルヒの憂鬱』では、僕は原作だと朝比奈さんが好きだったんですが、アニメを観ると長門さんが好きになってたんですよ。僕はこんな感じの、媒体による差異をいつも考えていて、それぞれの媒体で適したキャラ性があると思うんです。なので得意なキャラというのはありませんね。……苦手なキャラというと、純粋なロリキャラですけど(笑)
──苦手キャラはあるんですね。
綿貫 僕はロリキャラは見るのは好きなんですが、書くのはとても苦手です。普通に考えると、子供って知識も常識もまだ不完全だから、萌える状況に持っていくのが難しいんですよね。“萌え”で大事な要素のひとつとして「恥」があると思うんですが、その「恥」が未成熟だとやりづらいというか。サブキャラならともかく、メインに普通の子供キャラを据えるのは難しいですね。キャラが持つ世界観の性質も弱くなりがちですし。
──おばあちゃん口調のロリキャラが世に多い理由がいま分かりました(笑)
綿貫 ああ、あれは僕も大好きです(笑)
※後半へと続く
