『しがみつかない生き方』(香山リカ・著、幻冬舎新書)

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「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルールということで、こうしたほうがいいという考え方を10個羅列して述べているわ。

でも内容以前にまず論理構成がめちゃくちゃなのよね。たとえば10のルールのひとつに「子供にしがみつかない」というのがあるんだけど、どうして子供にしがみつかない方がいいのかちゃんと書いてないし、さらに子供にしがみつかないことがどうしてふつうの幸せを手に入れることにつながるのかも書いてないのよね。10のルールっていうからにはきっちりと帰納的に述べられているかと思ったんだけど。そもそも「ふつうの幸せ」がなんなのかちゃんと定義されてなくて、読めば読むほどもやもやが深まっていく感じがしたわ。

この本は、精読するタイプの人が読んだら同じ感想を抱くと思うわ。

論理構成については気にしないとしても、論法ももやもやしちゃうのよね。著者の言う「ふつうの幸せ」というのは、推測で定義すると現在の自分に満足して、つまり自己肯定することで得られる幸福感のことだと思う。その定義だとすると、人はどんな状況だろうと幸せになろうと思えばなれるのよね。

これは真理だと思う。ここまでは問題ないのよ。問題はそのあとよ。この「今の自分に満足すれば幸せ」ということを前提に、「お金が無くても幸せ」「仕事で成功しなくても幸せ」「子供に頼りにされなくても幸せ」とどんどん論を出エスカレートさせていって、最後は「努力しなくても幸せ」と述べているわ。さらに努力しても報われない人がほとんどなんだから努力はしないほうがいいという内容のことまで述べてるの。

この本は方法論ではなく、エッセイなどに分類されるべきね。「私、香山リカはこう思います」という内容の。新書って昔は学術論文みたいなものばっかりだったんだけど、いまは随分と柔らかくなったのね。

ついでに、ちょっと個人的にひっかかる内容が多い本だったから反論しておくと、たとえ報われないとしても本人が努力してるプロセスを楽しんでるんだったらそれも「ふつうの幸せ」よね。目指してはいけない例として勝間和代氏の名前を挙げてるけど、たとえ彼女のようになれなかったとしても勝間和代氏を目指して努力している自分を肯定して満足していればそれも「ふつうの幸せ」だわ。

と、ずいぶん批判的なことを書いちゃったけど、もちろんいい部分もあるわよ。この本を読んでみて心が楽になる感じがするようだったら、あなたは本当はやりたくもない努力を強いられてる、もしくは自ら強いているのかもしれない。試金石みたいに使えるのよ。だから一応紹介しておくわね。


しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)

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